守護神

「自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に
生きる人々を描いた6編」

森絵都さんの『風に舞い上がるビニールシート』の紹介文です。

私は、森絵都さんの作品だからという理由だけで、特に内容を確認
しないままこの本を読み始めました。

まず驚いたのは、これまで読んできた森絵都さんの作品とは雰囲気が
違うことです。それで、途中で裏表紙にある紹介文を読み、それから
解説にも目を通しました。

その解説の表現をお借りすることにします。

  単行本デビューを果たして以来、森さんは長く十代の子供たちの
  物語を書き続けてきました。その実力は、数多(あまた)の
  受賞歴を見れば一目瞭然ですが、そうした評価と前後して、彼女の
  作品にはいつもその世界に魅了された読者の囁く声があり、
  児童文学から一般文芸へと場を移し、わずか3冊目の本書で
  直木賞を受賞したことにより、その声はいっそう大きくなったのです。
  おそらく、これほど質感が違うと、老若男女どんな読者が読んでも
  6つの物語のなかに、好みのタイプの作品が見つかるはず。

そうなんです。
いつもの雰囲気と違うだけでなく、一冊に収められている一つひとつの
短編もそれぞれから異なる印象を受けていたのです。

私が特に好きなのは「守護神」です。

時間に追われる社会人学生が、レポート代筆の達人と呼ばれるナゾの
人物に依頼しようと試みます。「代筆の達人」はそれなりの「選考基準」を
持っていて、この社会人学生は断られてしまいます。彼はその理由を
必死で考え、どうにかして代筆を依頼できるように達人と対話を続けます。

この対話を通して示される気づきというのが、私にとっては人ごとではなく
ハッとさせられました。時間に追われている人は、この短編に何か感じる
ところがあると思います。

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)
文藝春秋
森 絵都


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